虚勢を張るリーダーをどうするか?(#2, 具体例)

組織改善したときのマネージャーの具体例

例1)完璧主義でオーバーフローしたマネージャー

急成長している外資系企業のエンジニア部門で、

それまで10人ぐらいの部下の面倒を看ていた係長の例です。

 

別会社買収で業務が増え、

関連部署から業務依頼が多数来るようになりました。

係長は部下の負荷を抑えるため外圧からの盾となり、

関連部署に文句を言い、必要最低限のサポートしか

許可しませんでした。

仕事を丸投げしたかった関連部署(

プロジェクトマネージャーが一人で担当している)

からのクレームが上層部に上がり、私がサポートに行きました。

 

改善の1→業務範囲のグレーゾーンは相談の上こちら側で引き取る

その技術部門のSOW(Statement of Work、作業範囲)を

確認しましたが、全く問題はありませんでした。

問題なのは、プレイングマネージャーであるPM(Project Manager)

の担当業務側が不十分だったのです。

SOWを変えたわけではありませんが、

アサインされた各担当者はPMと相談してグレーゾーンの

業務で出来るところはこちら側でやることにしました。

 

改善の2→組織内を機能別に分割

メンバーが50人近くに増えており、

サブリーダークラスも数人いました。

メンバーから、スキルレベル、適正、希望、を順次ヒアリングし、

機能に応じて4つに分けたグループに振り分け、

サブリーダーもアサインしました。

 

・結果は良いことと悪いことが起きました

良いことは、サブリーダーが生き生きと自分の意見を言い、

全メンバーも積極的に動き出したこと。

悪いことは、本来の純粋な技術サポートだけでなく、

PMの手伝い、雑用的な仕事も入り、仕事量が増えたこと。

そして、一過性ではあるが、

新しいことを始めて習熟するまでの期間、

仕事の質が下がりやや大きな問題も発生したこと。

係長は「今まで完璧に機能していたのに、

むちゃくちゃになった。」と大変悲観しました。

 

細かな軌道修正を経て、そういったバタバタは

その後3か月以内にほぼ収束していきました。

その後、機能別に分けた組織構成はそのまま係長に

引き継がれサブリーダーとの関係も良好で

問題なく機能しています。

 

[結論]

完璧主義のマネージャーは高負荷の仕事でもこなしてしまうため、

限界を超えるまでは完成度の高い仕事をします。

しかし、創造性に乏しく、限界を超えると打開策を思いつかず

自分の業務範囲に線を引いて周囲のせいにしがちです。

また、それに付き合わされる部下はそれに辟易し、

自発的な意見も出にくくなります。

解決策は、改善するための余分な作業と失敗するリスク

を誰かが肩代わりしてあげることです。

優秀なサブリーダーがいれば、リーダーに代わって

グレーゾーンもうまく調整してくれるので、

サブリーダーへの教育を最初にすればスムーズに進みます。

 

例2)軌道修正の決断が出来なかったマネージャー

A社、中堅日系企業、の事業部長の場合です。

製品開発者として非常に優秀で、現場経験も長く

部下からの信望も厚く、新しいものについても

積極的に取り入れておられました。

マーケティングや商品企画、製品開発に新しい

手法を取り入れ、部長教育の研修の企画にも同意して頂き、

経営会議で役員達に改革を行う宣言をして

威勢良く活動がスタートしました。

しかし、実務が多忙なことを理由に徐々に活動への

参加率が下がり私に任せきりになりました。

そして2年後の経営会議で成果が出ていないことを

理由に活動は終了、組織は分解されました。

後で聞いたことですが、途中で役員に活動の

成功の可能性が低いと指摘されたようです。

 

板挟みになり苦しまれたようですが、

本当に多くの役員からの批判が多かったのなら、

役員達だけでじっくり話し合う機会を作り

軌道修正を急ぐべきだったと思います。

 

決断が出来なかった理由を推測すると、

・事業部長自身が十分未来像を描けてなく、

 成功を100%信じられなかった。

 新しいことを始めることは勇気がいります。

 それだけでも立派なことですが、結果を100%の

 コミットすることはさらに難しくなります。

 活動に関係した知識、マネジメントに関する新しい

 知識を習得することが追い付かず、

 自分の進むべき方向に確信を持てなくなったの

 かもしれません。

 

・ゼロベースの思考方法についていけなかった。

過去の経験の延長線上に向かうのではなく、

目標を定め自ら足場を固めてその方向に進んで

行くマネジメントに慣れていなくて、

出来ることなら後戻りしたかったのでは?

絶対的なリーダーシップで部下を引っ張ってきた人で、

不慣れな分野でも威厳を保ちたいと思っておられたと思います。

いまさら引き返せないし、

反対派役員が止めてくれたことに内心ホッとしたのでは?

自分の居場所を確保したいという考えはなく、

不慣れな分野でどう部下を引っ張っていくのかが不安だったのかも。

 

ちなみに、同じ時期に改善活動のリーダーだった別事業部の

事業部長は経営陣の反対に負けず改善活動を続け、

最後に売上を上げる等の見える成果を出されました。

違いは、この事業部長が若く新任の事業部長だったために、

部課長と一緒になって新しいスタイルのマネジメントを

素直に勉強したこと。

みんなでコツコツと現実的な解決策を話し合い、

必要なら反対派の部長を他部署に異動させる等

の思い切ったこともやったこと、だと思います。

 

[結論]

改善対象のリーダー(管理職)へのアドバイス

・プライドは捨てること。 

・自分の居場所がなくなる可能性があることは覚悟すること。

 

改善を指示する統括的なリーダーへのアドバイス: 

・対象部署のリーダー(管理職)に、

 今まで頑張ってきたことをほめてあげ、

 これからも居場所はあることを説明し、安心させてあげること。

・適材適所の適性を考慮し、対象部署のリーダー(管理職)に、

 部下への緻密なマネジメントが無理なら補佐を付ける。