企業診断から何を求めるのか?

劣っている点の原因を分析しなくていい!

A社における改善活動履歴でまだ詳細が書けてないのですが、

A社での改善活動後半はとことん一流のコンサルに

お願いして本格的な改革活動をしています。

 

まずコンサルはキーマン的メンバーからのヒアリングを行い、

企業文化や問題点を纏めました。

 

その時のコンサルとの雑談で感じたことですが、

単体で「企業分析」を行う場合は、

劣っている部分の原因を追究するのは意味のないことです。

 

コンサルも内心思っていることをすべて言うのではなく、

クライアントの意志や企業理念、風土を考慮して

改善を進めていくので、

導入時の問題点の分析や対策はゴールを

考慮してメリハリをつけていくとのこと。

 

よく理詰めで突き詰めて考えることが

好きな研究者気質の人が「徹底的に原因を追究しろ。」

と言いそうですが、

製品の不具合の原因なら当てはまりますが、

人間の感情や風土が絡んだ会社で

「問題」と認識している劣った部分の原因を

追究する意味はありません。

人間と同じで、劣っている部分は企業の個性なのです。

 

企業診断(一例)

企業の要素は大きく分けると

「人材」、「戦略」、「組織の動かし方」になります。

3つの要素が揃って初めてそれぞれが生きてきます。

 

戦略(事業戦略):

人材(組織構成)と組織の動かし方が揃って初めて

実行計画が生きてきます。

 

組織の動かし方(マネジメント):

人材と戦略を効果的に動かす方法、ルール、スキル

 

人材:

優秀な人材のキープ、生かし方、育成

(「優秀な人材の雇用」のテーマは企業分析では別枠です)

 

この簡易的な診断でA社を分析したところ、

かなりいびつな形になりました。

優秀な開発者がのびのびと仕事ができ、収入も高く離職率は低い。

情報の共有化や管理業務は全く整備できていないが、

そこに全くコストをかけていないからであり、

企業理念に沿っていると言えば沿ってます。

優秀な人材の離職も幸い当時は最少限度に抑えていました。

問題は、優秀な若手が育っていないことでした。

 

もう少し細かく書くと、

下記のような分析結果を経営陣に報告したのです。

・結果重視のプロセスが見えない仕組みになっていて、

 タイムリーな状況判断ができない

・個人の能力に頼り切った業務運用になっていて、

 効果的な情報共有ができていない

・ノウハウが個人の経験に依存しているため、

 現行作業の質向上だけでなく若手育成にも妨げになっている

・流用設計のための方針やルールがない

・協力会社を使うときの方針やルールがない

・会議が多すぎる

・プロジェクトの管理情報や中間成果物が個人資産、

 共有活用されていない

・プロジェクト管理のルールが標準化されていない

 

経営陣は「若手の育成」に特化したコンサルティングのみ許可し、

共有化や管理ルール改善に関するツール作成と一時的増員は

承認されませんでした。

 

この結果に私も納得しています。

残念ですが、コストやマイナスの影響を考えると仕方ないかと。

 

マイナスの影響とは、

情報共有やルール決めだけが先行して、本当に大切なことが

疎かになること、です。

実際にプロジェクトマネジメントを導入しようとしても、

会議の質を向上させようとしても、

あまりにも現時点の社員の実力と目標が乖離していて

めげそうになることが多く、

拒否されるか、魔法のツールのように過度の期待をされたりと、

違った方向に行きそうで心配していたのです。

 

また、A社は「管理」と名が付くと、

権威主義で形骸化した非常に古いしきたりが

企業文化として個々人の体に染みついており、

「情報共有」、「管理ルール」だけに特化して

活動して意味のある改善ができるのか非常に疑問でした。

 

今から思えば、経営陣に説明するときに、

「若手開発者を育成する方法」をテーマにプレゼンし、

おまけ程度に情報共有や管理ルールの定義を付けておけば

良かったと反省しています。

企業の個性を大切にして。