感性の鋭さは、異国語の発音の聞き分けと似ている

アメリカに1年近く居ました。

週末には片道1000km近く走って観光したのですが、

田舎に行くと想像以上に言葉が通じにくくなります。

田舎は異国人がしゃべる英語を

直接聞く機会がないからだそうです。

 

日本人は、発音が悪くてRとL、VとBなどを正確に言えなくても

文脈で理解出来そうなものと思ってしまいがちですが、

ネイティブはアルファベット一音一音でなく音節で理解するので、

全く違う発音の音節が聞こえてくると混乱するそうです。

日本人はRとL、VとBの区別がつかない、と事前に知っていて、

その日本語英語を聞きなれた人は、

頭の中で正しい音節に置き換える翻訳作業をするらしく、

我々が想像する以上に発音の違いは大きいようです。

例えば、very~と言ったとき、発音が悪いとbellyとしか聞こえず、

belly danceを想像するそうです。


これと同じで、会社ごとにその企業文化に応じた独特の共通語があります。

同じ単語から連想する作業も全く違います。

会議で話す言葉の意味の確認がされず会話される会議ほど

無駄な時間はありません。


A社の企業文化は、

「個人の考えを尊重し、他人に干渉しない」、

「集団作業より個別作業を重視」、

「過程より実績を評価」です。

裏を返せば、

「互いの考えの摺合せや交渉をしない、苦手」、

「相手の考えに関心がない、推測しない」、

「場の空気や、相手の考えを読めない」、

「人の話を傾聴しない、自分の意見だけを伝える」

という傾向があります。


思考プロセスも、

「過程より実績」、「抽象より具体性」、の風土により、

下記作業は抽象度が高い段階ではキーマン個人がほとんど考えます。

会議で状況を共有できる言葉がないからです。

・共通ゴール設定

・現時点からそこに進むまでの計画を立案

・障害物をどう克服するか検討

会議では具体的な作業工程中心で議論され、

具体的な落とし込みができず抽象度が高いままの課題があると、

また個人の宿題となってその会議は終わります。

 

つまり、

抽象度が高い状態で、

議論し思考の過程を共有することが苦手なのです。

普段から伝えること自体を行わないので、

表現方法がない、言葉がない、のです。

 

趣旨に賛同してくれたA社の開発者数人と、実験的に、

抽象度の高い段階の課題を議論する会議をしてみました。

普段全く使わない頭や単語を使ったそうで、非常に疲れたと

感想を言ってました。

 

ホワイトボードに図を描くのも疲れたし、どう表現して

いいのか考え、言葉を選ぶのに疲れたそうです。

何度かやっていくと、意思疎通は劇的に改善しました。

しかし、今度は訓練している人が、そうでない人との

意志疎通がやりにくいと言い出したのです。

彼ら自身が、明らかに正しく進化したと

確信してしまうからでしょう。

 

思考の過程を図示し、相手に伝える作業を日々行うことで、

仲間内で共通の言葉となり、会社の共通語となります。

 

これは一人のリーダーがチームメンバーを指揮するときも同様です。

一人が頭の中でイメージしていることをメンバーにうまく伝える

ことが出来るようになると、コミュニケーションは改善します。

 

一般社員にも同じことが言えます。

日々の作業における不具合報告をまとめるときにも使えます。

自分の担当部分の細かい状況をダラダラ細かく書くのではなく、

伝えたいことの要点をまとめて書くことができます。

 

この方法、議論に慣れてくると、相手の考えていることの

理解が早くなるし、直観も働き易くなり対応が早くなります。

つまり、漠然と違和感を感じて、見方を変えて質問すると、

勘違いしていた部分に気付いたり詰めが甘い部分が見つかります。

詳細化して数字の羅列だったら気付かなかったところです。

 

この柔軟な思考方法に慣れた人とそうでない人の

問題認識力は、雲泥の差です。

抽象度の高い議論をして鋭い指摘をしても、

普通の人はたまたまその業務に習熟しているから

良く知っているんだろうと想像するだけかもしれません。

 

しかし、この能力はトラブルシューティングにも応用でき、

誰にも解決できなかった原因を究明することができます。

本当にこの能力を持った人しか、この記事で伝えたいことは

伝わってないかもしれません。

 

最初に書いた通り、RとL、VとBの発音と同じです。

分かる人は、「全く違う言葉に聞こえる」ですが、

分からない人には、「何のことか全然分からない」

状態だと思います。